僕の気楽飛歩日記

戦中派老人の赤裸々な日記から

カブト虫

 8月の中旬に「昆虫博」へ行った娘と孫がカブト虫のつがいをもらってきた。入場者の抽選で当たったらしい。

「ほとんどの人がハズレで作り物の昆虫だったけど、僕は当てた」

 と孫は得意そうだが、昆虫の大嫌いなふたりだ。

「作り物のカブト虫にしようと、言ったんだけど、これがいいというもんだから」

 娘も仕方なしに持ち帰ったと言う。

 それでも、昆虫マットと餌のゼリーは買っていた。

「爺ちゃん、カブト虫に餌あげて」

 平日の夕方には電話がくる。

「よっしゃ」

 いそいそと駆け付ける爺。

 オスは元気で動き回っているがメスはほとんど姿をみせない。

「メスは死んでしまったのかな」

 と思っていた。

 9月に入ってしばらくしたとき、

「爺ちゃん、カブト虫変だよ」

 孫からの電話。

 死んでいた。

 孫とふたりで花壇に穴を掘ってつがいのカブト虫を埋めた。

「もう、土も処分してもいいよ」

 娘が言った。

「メスは弱かったから卵は産んでいないと思う」

「もし、卵を産んでいたら、かわいそうや」

 新聞紙を広げて昆虫マットを広げた。 

「いるよ3匹も幼虫になっているよ、図鑑を持っておいで」

 孫が図鑑をひろげた。

「今、生まれて間もないから、5ミリほどしかないけど、来年の春になったら爺ちゃんの手の親指ぐらいになるよ、6月ごろにはカブト虫がでてくる」

それまで、爺ちゃんが預かることにした。

 家へ持ち帰って、幼虫用の昆虫マットに交換し、

「がんばれよ、大切に育てるからな、大きくなれよ」

 と言った。

 これからは、乾燥しないよう気をつけて春を待つ。