僕の気楽飛歩日記

戦中派老人の赤裸々な日記から

恐るべし旧民法

その一、

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金を頂くための申請は、旧民法に基づくということらしい。

 僕の実父は先の大戦で戦死している。実子は僕しかいないが申請にあたっては病死した前夫の子(2名)及び実父の妹(僕の叔母)の印が必要だということであった。

「なんで」

 僕が問う。

「戦死したとき、実父は病死した前夫の家督を相続し、そのとき、前夫の子2名とまだ結婚していなかった妹を子として入籍している」

ということであった。

民法では家督相続者がするべきことらしい。

 

その二、

 戦時中、僕の村からも多くの人が出征し戦死している。

 戦時中のある日、少尉で出征した村人の遺骨が帰ってきた。ところが遺骨を納める箱は白木のまま荒縄で十文字に括られ、「葬式まかりならん」と達しが付いていた。

「敵前逃亡により処刑された」ということであった。

 どのような敵前逃亡なのかは分からない。

 戦後、この遺族は恩給の受給資格が与えられなかった。

「国により強制的に戦争に行かされたのにあまりにも酷い仕打ちだ」

 と遺族は苦情を言ったが、受け入れられることはなかった。