僕の気楽飛歩日記

戦中派老人の赤裸々な日記から

やられた

 先週土曜日の農産物産直市場でのこと、当日は「桃まつり」が開催され、それこそものすごい人出だった。

 会場30分前には入口前に人だかりができている。一応列を作って並んでいるが、まったく並ばず入り口近くでたむろしている者も多い。

 9時の開場と同時に群衆はいっせいに桃売り場に殺到している。女房は「誰にも負けじ」と突入している。だが僕は近づくこともできない。

まもなく女房が5箱を抱えてでてきた。

「中身を選ぶことなどできない、一山全部抱えてきた」

 と意気軒高だ。

「じゃ、それをレジへ持って行こうか」

 女房から受け取って待ち人の少ない列に並んだ、10番目ぐらいだ。

 やっと次は僕の番になった。そのとき桃の箱2つを持った50代ぐらいの女性が、僕に何か話しかけてくるとそのまま僕の横に並んだ。次は僕の番なのに、その女性は次にレジを取ろうとしている。

―こいつ、割り込むつもりだな。

 と気づいた僕は一歩前へ出た、その女も前に出る。ジリジリと場所争いをしてついに先にレジの前に立たれてしまった。

 僕の後ろには30人ぐらい並んでいる。

 頭にきたが大声を出すのも良くないだろうと僕の後ろに並んでいる女性を振り返って、

「割り込まれてしまった、ごめんなさい」

 と謝った。後ろの女性は顔を曇らせていたが僕には何も言わなかった。

「文句ぐらい言ってやりなさいよ」と言いたいのだろう。

 割り込んだ女はこちらを見向きもしないで立ち去った。

「そんなときはだめだよと言うべきだ」

 と女房は僕を非難したが、僕が口を開いたら大声でどなっていただろう。あの場面では冷静に言うことはできない、自分の気持ちをコントロールできない状態だった。

 僕が利用されたのに何も言えなかった己が情けなく気分の悪い一日だった。