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僕の気楽飛歩日記

戦中派老人の赤裸々な日記から

オーサンキュウありがとう

 7月29日(金)

 毎日猛暑が続いて満足なウォークができない。

 こんな時に思い出すのが、涼しくて汗をかかない高原のウォークだ。

高野山へ行くよ」 

 タイミングよくウォーキンググループのひとりから女房への誘いがきた。

 去年まで3年をかけて高野三山を踏破してきたが、今年は特に目的もなく涼しい町を散策するという。

「俺も行っていいか」

 女性グループに僕ひとりが割り込んで行くことになった。

 幸い曇りだ。町を歩いていても汗はかかず体をなでる風が気持ちいい。

 金剛峰寺、大塔、金堂と観光客の多いスポットを歩き、そろそろ腹が減ってきた。

「釡めしの美味しい店がある」

 グループのひとりが提案しすべてが賛成して大門近くの食堂へ入った。

 何かの観光情報誌にでているのだろう、わざわざ探して来る客もいる。

「さすがに美味いね」

 具材一つひとつの味がしっかりしている。

「美味い」

 僕らは大満足で店の人に礼を言って町に出た。

 ここから4キロ歩いて奥ノ院へ参拝した。歩くことを目的とする僕らのグループにとっては軽い散策程度だ。

 帰路の電車は橋本行き普通電車だった。発車時には座席に座れず立っている人もいる。

 橋本駅に着いた。ここからは難波行急行に乗り換えなければならない。急行の座席を確保するべく皆が走っている。

 僕も座席を立って2,3歩動いたとき、「すみません」大きな声で呼び止められた。

「え!」と振り返ると西洋人らしい娘さんが僕のサイフを手に持っていた。座っている間にズボンの後ろポケットから抜けでていたのだ、過去に一度もなかった失敗である。

「おー」僕は目をまん丸にした。

「サンキュー、サンキューありがとう」

 とっさに出た僕の言葉だった。

 娘さんは僕にサイフを渡すと乗り換えのためホームを走っていった。

 娘さんに何の礼もできなかったことが心残りになったが、僕にとっては大変な救いであった。そのサイフには現金こそあまり入れていなかったが、運転免許証、ETCカード、郵貯カード、銀行預金カード、健康保険証及び大型店舗の買い物カード等重要なカード類を常時持ち歩いていたのだ。

 紛失すれば大変なことになるところだった。

 娘さん本当にありがとう。