僕の気楽飛歩日記

戦中派老人の赤裸々な日記から

嫌なものを見た

 先週の土曜日だった。橋本市の京奈和自動車道インターチェンジ近くの回転すし店へ入った。

 12時前で、受付・支払いカウンター前は順番待ちをしている客でごったがえしていた。

 受付簿に記帳すると、すでに10人以上の人が待っていた、20分待ちになっている。

 そのとき30代と思われる男性2人が入店して、記帳し、しばらく経ったとき、

「まだか」

 と受付の店員に聞いた。

「お呼びしますので、しばらくお待ちください」

 店員は、支払いに来る客の応対をしながら丁寧に言った。

 2人の男は、待ち人に交じって立っていたが、そのうち中へ入って行った。

 順番がくれば店員はテーブル番号の札を客に渡し、客はその指定されたテーブルで食事することになっているのに、その2人は手ぶらで奥に入った。

 僕らの番が来てテーブルに向かうとき、さきほどの2人が食事しているのが目についた。当然、番号札は持っていない、空いている席に勝手に座ったのだ。

  10人以上の待ち人をしりめに平然と食べている。

「あいつら割り込みして、なんとも思っていないのか」

 食べ終わって店を出た僕は憤慨したが所詮他人のことだ、怒ってもしかたない。

地震

 午前7時58分

 ドンと来てドドドミシミシと建物が上下に揺れた。

「来た」

 南海トラフが動いたと思った。直ちにテレビを点けると地震速報が出ている。

 大阪の北部を震源としていた。

 震度6弱だ。

 わが家の地域は震度4で被害なし。

困った

 今まで投稿していた記事を読み直したら、入力した語句に過去に入力した語句が連なって出ていることに気づいた。10万円と入力したものが10日万円となっていたり、30分が300分になったりと、なんとも不細工な文章を投稿していたことになる。

 メーカーに問い合わせると「パソコンが非常に不安定な状態ですから、いつ壊れるか分かりません、外付けのハードディスクに今まで入力したデータを保存の上修理に出してください」ときた。

 あわててハードディスクを買いに走ったが、ブログは移す方法が分からない。

 ネットで検索してもよく理解できない。

 潰れるまでこのままいくしかあるまい。

 

グループウォーキング・山田池公園

f:id:hidechan3659:20180612175523j:plain

f:id:hidechan3659:20180612175620j:plain

f:id:hidechan3659:20180612175733j:plain

f:id:hidechan3659:20180612175843j:plain

f:id:hidechan3659:20180612175938j:plain

 ショウブとアジサイを期待して枚方山田池公園へ行った。

 花を観に行っても時期がずれて、なかなか満開に出会わないものだが、今回は満開だ。

  ザクロの花が咲いていた。僕の最も好きな色である。

 曇りであったことが幸いして花は元気だ。

三徳山投入堂(みとくさん なげいれどう)

f:id:hidechan3659:20180611184905j:plain

f:id:hidechan3659:20180611202509j:plain

f:id:hidechan3659:20180611202601j:plain


 婿殿の両親を案内して投入堂を参拝することになった。僕ら夫婦にとっては10年ぶりだ。
 駐車場に車を置いて、国道沿いの遥拝所で「あそこに行く」と言っても両親とも本意は伝わらない。誰もが行くところだ、それほど大したことはないだろう、山道を登っていくだけのことだ。と思っているらしい。
 参拝者受付案内所で入山料800円を支払い、履いている靴の底をチェックされた。
「靴の底にはっきりした凹凸がなければいけません」
 と言いながら一人ずつチェックしている。
 親戚の家で地下足袋を借りていた僕は「バッチリです」とOKが出た。
 そこから続く皆成院、正善院の前を通過し本堂にお参りしてから登山参拝事務所で靴の最終チェックを受けてから山中に入った。
 道が付いているのはほんのわずかの距離だけだ。山道にかかるといきなり道が無くなって急斜面に張った木の根を持ち掴みながら越えて登っていく。今朝まで雨に降られ、山は滑りやすい。必死になってかずらにつかまり、くさりをつかまえ道のないところを登っていく。なにしろ70歳を超えた高齢者ばかりだ。若い登山者が後ろから追いついて来ると「先に行って」と前に行かせる。1時間ほども歩いてやっと文殊堂、地蔵堂に着いた。これらのお堂の縁側がコースになっているが幅は50センチほどで手すりも付いてない。縁の下は目もくらむような断崖になっている。お堂の壁や戸に手をかけてソロリソロリと恐怖心も露わに歩いていたが、ついに座り込んで腰をすべらせて進むしまつだ。
 お堂をでると大きな岩場の上に鎖が渡してある。これを掴み岩の上をよじ登っていく。
 1時間半もかかってやっとのことで投入堂を望む岩場に到着した。

 登山参拝事務所の注意書きには往復の時間が1時間半から2時間とあったが、僕らはさらに時間を要したことになる。

「お堂へはどこから入室するのだろうか」
 見る限り道はなく入口も見えない。
 下りもほぼ同じ道を下り、事務所に着いたときには2時間40分もかかっていた。
 それでも征服感はある。
「大変やったね」「腕が痛い」「足が痛い」ブツブツ言いながら皆が満足した顔だ。
 車に帰り三朝温泉共同浴場で汗を流して帰途についた。
 

みちのく秘境秘湯周遊ツアー

 5月30日(水)

 朝から雨が降っている。やっと夜が明けた街を右手にキャリーケース、左に傘をさして駅へ向かった。これまで旅行に行くときは雨に降られたことはない、晴れ男だと豪語している僕だが今日は本格的な雨だ。

 5時33分発の快速は、この駅が始発だ、ゆっくりと座ることができた。ラッキー

 5時46分天王寺駅に到着、足早に歩いて伊丹空港行き直通バス乗り場へ着くと6時発のバスがまだ止まっていた、予定より10分前のバスだ。

 阪神高速も空いていたため6時半に伊丹へ着いた。

 旅行社指定の集合時間より30分早いが担当者はカウンターについていた。

「そこと違うよ、受付は二階だよ」

 二階へ上ろうとしている女房を無視して一階の受付へ行き、旅行社の手続きを済ませた。僕の方が正しかったのだ。今回の旅行中何回もこのような摩擦が起きることになる。

「キャリーケースは機内預けにしてください」

「このキャリーケースはいつも機内へ持ち込んでいますよ」

 担当者は「飛行機が小型ですから」と言った。

 ケースを預けてから二階の出発フロアに上がり、しばらく時間を潰してから搭乗のための保安ゲートを潜ったところで係員に呼び止められた。

「金属探知機を使ってもいいですか」

 若い男性の係員は小さな声で質問してきた。なんとなく気後れしているようだオドオドしている、どうも新入社員で研修を終えたばかりのようだ。

「いいよ」

 探知機を体に当てると反応音がした。

「ベルトを取っていただいていいですか」

「いいよ」

 僕が言いなりになって従う。

 まだ反応がある。

「靴を脱いでいただいていいですか」

「いいよ」

 片足ずつ脱いで探知機を当てる。

「手で触ってもいいですか」

「いいよ」

 係員が片足ずつ足首から上へ足全体を触って凶器になるような物を探したが、当然なにもない。

 腹から腰にかけて探知機を触れると反応が強い。

「腰のコルセットに付いている金属に反応していると思うから外しましょうか」

 腹をめくろうとしたら、「いや結構です」と係員があわてて静止した。

「お腹を手で触ってもいいですか」

「いいよ」

 係員はコルセットの中まで手を突っ込んで探っていたが納得したのか「ありがとうございました」と言って解放した。

 「ずいぶん念入りに調べられたね」

 女房が笑っている。

「マニュアルどおりの検査をしたな、あんなの初めてだ、あれ以上疑ったらあそこで腹を出してやろうかと思ったが、さすがにそれは止めたな」

 僕も笑いながら搭乗口へ向かって歩いた。

 搭乗するためバスでタラップ下まで移動してから歩いてタラップを上った。こんなことは初めてだ、よほど小さい飛行機だろうと思っていたが以外にも大きな飛行機だ。

 機内は通路を挟んで左右に二席ずつ並んでいる、女房と二人だから気は楽だ。窓側の頭上には荷物収 納ボックスがあり、立てば頭に当たってしまう、席数はざっとした目算で120ぐらいだ。

f:id:hidechan3659:20180607080723j:plain

 小型なら低いところを飛ぶから下の景色が良く見えると期待したが、上空に上がると雲ばかり、たまに下界の景色が見えるだけだ。失望している間に仙台に着いた。

f:id:hidechan3659:20180607080827j:plain

 今日は秋田の男鹿半島を観光する予定になっている。本来なら秋田空港へ下りるべきだが飛行機がとれなかったらしい。

「バスに乗る時間が長い」と女房はぼやくが「それだけ多くの観光ができる」と僕は喜んでいる。

 ツアーへの申し込みが遅かったため、バスの座席は一番後ろの一つ前で窓は車体がさえぎって車窓を楽しむのは困難だ。でも、今日1日我慢すれば明日は前の方の席に変えてくれるだろう。

 バスはまだ新車の域だろう、快適なドライブができそうだ。

 バスガイドが付いている。僕にとっては久しぶりだ。50歳代と思われる年齢だがベテランで説明も上手だ。

 高速道路を延々と走っている。

 車窓から見える民家は大きな家も多いが屋根に瓦葺はなく、トタンのような金属製の屋根ばかりだ。雪が多く寒冷地であることが影響しているようだ。

 山手に入ると大きな葉の上にスイレンのような白い大きな花が載った朴木(ホウノキ)があちこちにある。今はニセアカシアの白い花も盛りらしく目につく。

 トチの木も白い花を付けている。僕の家の前にある公園ではくすんだ桃色の花が咲き、実もつけるが、もう一本の白い花が咲くトチの木には実が付かない。

「公園などに植える花トチにはピンクの花もありますが自生の木はみんな白です」

 バスガイドが教えてくれた。

 西日本の山とはずいぶん様相が違い広い葉の木や草木が多い。

 男鹿半島の突端へ着いたときに雨は上がっていた。あまり絶景でもないが、まあこんなものかと納得する。

f:id:hidechan3659:20180607080948j:plain

 午後4時に宿泊ホテルに着いた、今日の走行距離350キロ。

 以後、宿泊ホテルの良否を自分勝手にランク付していく。

 特A…大満足 A…満足 C…普通 D…だめ

部屋…C(古いが畳は交換して綺麗)

風呂…C

夕食…D「久しぶりに悪い」と文句言いながら食べた

朝食…C

 

 夕食後、カランコロンと情緒ある下駄の音を出しながら温泉街の演芸会館へ移動して「五風なまはげ太鼓ライブ」を観に行った。

 迫力あるなまはげの動きと太鼓に大満足。

f:id:hidechan3659:20180607081048j:plain

f:id:hidechan3659:20180607081143j:plain

 

5月31日(木)

 今日の座席は二列前へ出て左側だ、窓は広く気持ちいい。

 昨夜の天気予報では、今日の天候は不安定で「ところにより急激な雷雨になる」ということだ。

 雨対策をしてバスに乗り込んだ。

 バスは八郎潟干拓地内の直線道路を走っている。延々と続く直線を運転手は制限速度を越えない速度で走っているのだろう、ひどく遅く感じる。

 ハタハタ館でトイレと店の前の駅に到着するJR五能線観光列車を見てから移動して白神山地・十二湖へ着いた。

f:id:hidechan3659:20180607081234j:plain

f:id:hidechan3659:20180607081324j:plain

f:id:hidechan3659:20180607081402j:plain

 ありがたい。これまで降っていた雨がやんでいる。

 森の中を歩いて、神秘的なコバルトブルーの青池、世界遺産には登録されているブナ自然林の中を散策。途中、湧出している清水を飲み、ペットボトルに入れた。

 JR五能線十二湖駅からローカル列車に乗り込んだ。昔なつかしいジーゼル車だ。車窓より車内の雰囲気が気に入った。

f:id:hidechan3659:20180607081456j:plain

 ウエスパ椿山駅に下りた。

 駅前広場はウエスパ椿山という私設リゾート施設の敷地内らしい。

「できれば駅前のみやげもの店へ入ってください」

 添乗員はみやげ物を買って欲しいようであったが、そこまでは言わなかった。

 次は黄金崎不老ふ死温泉で昼食の後、温泉入浴だ。ところが入浴方法が難しく、どうしてよいのか分からない。

 室内の温泉で体を洗ったあ と、身なりを整えてから海岸近くの露天風呂まで移動するだけのことなのだが説明が難しい。どうも、浴衣とバスタオル、タオルを別途料金で貸し出したいようだ。

 誰もが「分らん分らん」とウロウロしている。

 水着を持っていたが「上半身も裸ではだめです」と言われ浴衣とバスタオルを借りた。

 室内の浴場で裸になってザブンと入浴のあと脱衣場で浴衣だけを着て、外の露天風呂に移動した。

 20メートルほどの道を歩くわけだが、当然女性」も歩いている。だから裸で移動してはいけないということだ。

 男性用の露天風呂にはすでに5人ほどが入浴していた。

 写真を撮りたいがカメラ持ち込み禁止だから残念でもあきらめるしかない。

 なんとか露天風呂へ入ることはできたが集合時間が近づいているのでゆっくりはできない、早々に上がった。

 濡れた裸のまま浴衣を着て、室内の浴場に戻り脱いでいた自分の衣類を着用して集合場所に戻ると、

「難しいから露天風呂には入浴しなかった」

 という人もありブツブツ文句を言っている。

「説明が悪いんだ」

 僕もブツブツ言っていると、

「靴は?」

 女房に言われて自分の足元を見るとスリッパのままだ。昼食会場で脱いだからまたあわてて迷路のような廊下を急いだ。

 会場にはまだ三人の靴が残っている、集合時間も迫っているのに大丈夫かなと思っていたら、三人の女性が走ってきた、皆が主人の靴を取りにきたのだ。

 

 五能線と並行して日本海沿いを北上している。

 いち度は乗ってみたいローカル線として全国的に人気を集める五能線の海岸をバスの車窓から楽しみながらバスは五所川原から国道339号線へ入り更に北上。

 しばらく行くと斜陽館の前を通過した。立ち寄って太宰治を偲びたいと思ったがツアーの悲しさ、通過してしまった。

 夕方5時過ぎに竜飛岬へ着いた。

 雨は上がっているが夕方と霧で視界は良くない、でも天気予報ではほぼ確実に雷雨に襲われると臍を固めていたが予報は、ありがたいことに外れた。

 周辺の景色と階段国道をカメラの露出を補正して撮った。

 それにしても最近のカメラは良くなったものだ、どんなに暗くても写る。

f:id:hidechan3659:20180607081614j:plain

f:id:hidechan3659:20180607081656j:plain

f:id:hidechan3659:20180607081741j:plain

f:id:hidechan3659:20180607081825j:plain

 さあ、次は宿泊ホテルだ。ところが弘前市近くの南田温泉まで行かなければならない。約2時間行程で到着は午後7時半ごろになるらしい。竜飛岬から明日フェリーで下北半島へ渡るときのフェリー乗り場までが42キロで約1時間、そこからさらに62キロほど行き過ぎて南田温泉へは高速道を使って1時間行くことになる。これなら竜飛岬にあるホテルに宿泊すればよさそうなものを、と思ったがツアー会社の都合があるのだろう。

 青森に近づいたころ雨が降り出した。昨日の予報では、今日僕らが行くコースは必ず強烈な雷雨に襲われるようなことを言っていたが現実はほとんど雨に合わなかった。それが今頃になって雨になったのだ、もう、いくら降ってもいい、バスでホテルへ行くだけだから。

 南田温泉へは7時過ぎに着いた、ドライバーが頑張ってくれたようだ、でもドライバーはいかなるときもスピードを超過させない安全運転に徹していた。時には大名行列を組んでいるようであった。

 夕食のためレストランへ行くと、僕らのツアー会社と同じ会社の別のグループがここに来る予定になっているが、霧により青森空港が閉鎖になったため仙台空港に下りた、ということだった。

 仙台からバスでこちらに向かっているが夜10時を過ぎるらしい。ホテルの従業員も大変だ。

 僕らグループの横にあるテーブルには団体用に並べてある料理がさみしく見える。

 

 部屋…C

 風呂…A

 夕食…A

 朝食…A

特A…大満足 A…満足 C…普通 D…だめ

 

6月1日(金)

f:id:hidechan3659:20180607081941j:plain

 朝、出発のとき、

「どなたかトランクに入れる荷物を忘れていませんか、ドライバーさんが言われるにはいつも入れる数より少ない気がすると言っています」

 と添乗員がマイクで車内に言った。すると、三人があわてて下り、しばらくするとキャリーケースを持って出てきた。

 出発が早いので朝食に行くとき、自分の荷物を持って出て、ロビーの指定場所に置いてから食事に行くことになっており、食事のあと自分で荷物をバスまで運ばなければならないのに、三人は指定場所に置いておけばホテル側がバスに積んでくれると思い違いしていたのだ。

 それにしてもドライバーの機転により僕らも助かったのだ。 あのまま気づかずに出発しておれば、次の宿泊ホテルから荷物を取りに来なければならないところだった。

 今日は昨日通過した蟹田港まで帰って「陸奥湾フェリー」で下北半島の脇野沢港まで1時間の船旅から始まる。

f:id:hidechan3659:20180607082143j:plain

「フェリーの近くにイルカが近寄って来ることがありますから楽しみにしてください、イルカを発見したら船会社からプレゼントがあるらしいですよ」

 バスの中で添乗員が説明した。

 フェリーは乗用車20台またはバス4台しか積めない600トンほどの船だ。バスに乗ったまま乗船し、二階の客室へ移動した。

 三階のデッキに上がると冷たい風が容赦なく当たってくる、ときどき雨粒も混じっている。

 それでもウインドウブレーカーを着て海原に目をこらしている。

 15分ほど経ったとき、僕の横でイルカを探していたカップルが大騒ぎしだした。

「いる、いる、ほらあそこ」

 指さす方角に視線をもっていったが何も見えない。

 カップルは女性が双眼鏡を目にし、男性は大きな望遠レンズを持っている。

「ほら」と言って見せてくれた一眼レフのカメラにはくっきりと二頭のイルカがこちらに向かっていた。やがてイルカのグループが船と並走してきた。

船室で座っている女房を携帯で呼び出した。船内は大騒ぎだ、右や左へとイルカを追って皆が移動している。

f:id:hidechan3659:20180607082240j:plain

 1時間の船旅はあっという間に終わった、皆がイルカ騒ぎで興奮している。

 脇野浜港に着くと、直ぐ近くに仏ヶ浦遊覧船が待っていた。

f:id:hidechan3659:20180607082312j:plain

 本来はバスで佐井港まで移動してから乗る船であるが、ベテラン添乗員の顔でここまで回航してくれたということだった。

 船は凪いでいる海上を元気よく疾走して、やがて仏ヶ浦に着岸した。

 ここだけに巨岩がそそり立つふしぎな空間である。

 岩は堅そうなので触ってみると鋭利な刃物になりそうなゴツゴツした岩だった。

 見物を終えて船に帰ろうと歩いていたら、後着の船から下りてきたグループの中に女房との同級生がいた。4人グループで個人旅行に来たようだ。

「日本全国どこに行っても知った人に会うものだ」

 女房が驚いている。

 波止場の海中には多くのウニがいる。

「あのウニはバフンウニですか」

 船員に聞くと「ムラサキウニです」と教えてくれた。

「じゃあ、10センチほどにもなる大きなウニですね」

「そう、うまいよ」

 バフンウニはウニの中でも特に美味いとされるウニだ。

 ムラサキウニなら僕のふるさとにも多くいる。

 海中の岩場で長いとげをウヨウヨ動かして海水浴のとき足の指によく突き刺さった憎きウニだ、味はバフンウニより劣ると聞いている。

f:id:hidechan3659:20180607082446j:plain

f:id:hidechan3659:20180607082530j:plain

f:id:hidechan3659:20180607082615j:plain

 佐井港に着いた。

 ここで昼食だ。小さな食堂の二階にセットした会場には海鮮料理が並んでいた。

「ウニはどうですか、小さいのは300円、大きいのは500円です」

 店員が回ってきた。

 先ほど目にしたウニだ。

「値段が高い」

 小さな声で女房に言い、買うのを諦めた。ウニなんてどこにでもウヨウヨいる。

 海鮮料理はさすがに新鮮で美味かった。

 昼食が終ると次は本州最北端の地・大間崎だ。

 毎年のように、年末にはマグロ一本釣りをテレビで特集している、僕の好きな番組だ。

 テレビで視るのとは違う湊かなと思うほど観光化されている。

 漁師の奥さん連中の魚介類売込みも、空振りになっている。なぜなら、あと二日間旅が続くから生ものは買えない。

f:id:hidechan3659:20180607082655j:plain

 

 日本三大霊場の恐山に着いたときには、すっかり晴れになって青空が広がっていた。

 総門をくぐると火山の噴気のような音が境内全体に広がっている。それにしては何かの声のようにも聞こえる。

「エゾハルゼミです」

 ガイドが教えてくれた。そう言われてみれば音ではない、蝉しぐれだ。だが森が離れているためか声が小さい。セミというより僕の子どものころ夏の眠りを妨げたケラ(螻蛄)の声に似ている。

 境内に入るまではいちども聞かなかった蝉の声だった。

 参拝コースの周りにはあちこちに小石を積み上げ風車が立ててある。幼い子を失った親の悲しみがひしひしと伝わって来る。

 胸を締め付けられるような感覚に戸惑い足を速めた。

 宇曾利湖という大きな湖の浜辺で一人の男性がシートを敷いて座っていた。遠く離れた場所なので釣りでもしているのかと思っていたら、

「亡くなった人を偲んで一緒にごちそうを食べるのです」

 まだ若い年代の男性だから恋人でも失ったのだろうか。

 ガイドの説明に思わず涙ぐんでしまった。

 もう数年も前のことになるが、僕の知人が企画するバスツアーでここへ来たとき、ひとりの女性が突然気が狂ったように泣いた、と聞いた。

 胸を締め付けられる感覚はつづいている。僕も感情の高ぶりを抑制できない人間かもしれない、早く総門から出たいと思った。

 総門を出ると蝉しぐれは聞こえなくなった。

 旅が終わるまで蝉の声を聞くことはなかった。

f:id:hidechan3659:20180607082828j:plain

f:id:hidechan3659:20180607082915j:plain

 今晩の宿泊はすごいぞ、かの有名な「星のリゾート」だ。

 夕方7時過ぎに到着した。今日の走行距離310キロ。

 露天風呂に体を沈ませて前方を見るとずいぶん大きな風呂に見えたが、近づいてみると池があった。

 手をつけると風呂の温泉が流れ込んでいて生温かい、それでも池だ。

「露天風呂と接して広い池がありますから、間違っても池に入らないように」

 と添乗員がバスの中で話していたのを思い出した。

 広い館内を案内図を頼りに、それでも迷いながらレストランに向かう。

 金魚の灯ろうのような光のトンネルがつづく「金魚ねぶた灯ろう回廊」の奥にレストランがあった。

 金魚は夏限定の「しがっこ金魚祭り」開催中だったのだ。

 すでに多くの宿泊客で混雑している。それでも席まで従業員が案内してくれるのでスンナリと食事にありつけた。

 バイキングだが料理は良い、さすがだ。

  ただ、3泊目になると僕の胃も疲れているから、結局あっさりした物ばかり食べている。これではごちそう台無しだ。

 僕の目には下着にしか見えないショートパンツを穿いた女性がいた。

 話を聞いていると中国か台湾の人のようだ、外国人も多い。

 夜8時半からショーがあるというので行ってみると大勢の客が椅子に座っていた。

 民謡につづいてスコップ三味線の演奏パフォーマンスがあったが、あまり面白くないので部屋に帰った。

 翌朝、広い庭園の周りを散歩した。

 

 部屋…特A

 風呂…特A

 夕食…特A

 朝食…特A

特A…大満足 A…満足 C…普通 D…だめ

f:id:hidechan3659:20180607083006j:plain

f:id:hidechan3659:20180607083058j:plain

 

f:id:hidechan3659:20180607083148j:plain

f:id:hidechan3659:20180607083233j:plain

  

6月2日(土)

 4日目になる。

 今日は東日本大震災で被害の大きかった三陸海岸へ行く予定になっている。

 被災した住民の地元へ観光に行くことが許されるのか僕には分からない。だが、ツアーのコースに選んでいるのだからと申し込んだ。

 ホテルを出発してから2時間ほどで久慈に着いた。

 濃い霧が町に迫っていた。街を囲む標高100メートルほどの山の上から濃い霧が街へ流れ落ちている。まるで霧の滝のように重そうな霧が徐々に街に入って来る。

 まるで冷蔵庫の扉を開けたときのような冷気が流れてきた。

「寒い」

 ウインドウブレーカーを着こんだ。

「やませ」という主に東北地方の太平洋側で春から夏に吹く冷たく湿った東よりの風らしい。冷たいため水稲や農産物の生育に大きな影響を与えるということだった。

 11時を待って海鮮寿司を食べた。

 すぐ近くの久慈駅から三陸鉄道北アリス線で普代駅まで40分のローカル線の旅をした。

 先の大震災で大災害を被った鉄道である。復旧後は全国のツアー会社が積極的に鉄道旅を組み込んでいることから今では黒字になっていると聞いた。

f:id:hidechan3659:20180607083626j:plain

 津波で流失した地域は、ほぼ片付けられ一面の原っぱに雑草が伸びていた。工事用のトラックが盛んに行き来している。

 できれば下車して亡くなられた方たちへ手を合わせたいが、バスは通り過ぎていく。

 心のなかで被害に遭われた方たちの冥福を祈った。

 津波の傷跡は少しずつ無くなっていく。

 普代駅からバスに乗り三陸海岸随一の景勝地といわれる北山崎の展望所へ行った。

 おりしも海上で発生した「やませ」が景勝にかかり幻想的な雰囲気を醸し出している。

f:id:hidechan3659:20180607083749j:plain

f:id:hidechan3659:20180607083844j:plain

 

 浄土ヶ浜は和歌山の白崎海岸のようであった。

 鋭くとがった白い岩が立ち並んでいる。

 流紋岩だと説明書があった。

f:id:hidechan3659:20180607083953j:plain

 浜にある浄土ヶ浜ビジターセンターの軒下に、先の津波が到達した高さが表示されていた。

 あの高さならセンターにいた人たちは二階であっても被害を受けただろう。はたして無事だったのか聞く勇気は僕にはない、無事であったことを祈るばかりである。

f:id:hidechan3659:20180607084101j:plain

 

f:id:hidechan3659:20180607084407j:plain

 

 今宵の宿は盛岡の奥座敷と称される鶯宿温泉だ。浄土ヶ浜から国道106号線を閉井川沿いに険しい山を上り北上高地を横断していく。

 車窓から眺める川は水害の被害を受けたらしく、あちこちで道路の修復工事をしていた。

 夕方7時前になってやっと宿に着いた。長い道のりを安全運転で走り続けるドライバーに「お疲れさまでした」と言ってバスを降りた。本日の走行距離290キロ。

 夕食のあと、さっそく入浴だ。

 めずらしく硫黄の匂いがしている。

「この近くに火山があるのか」と思ったが地図を見ると十和田八幡平国立公園の中で、近くには乳頭温泉玉川温泉酸ヶ湯などがあった。

 

 部屋…C

 風呂…A

 夕食…A

 朝食…A

特A…大満足 A…満足 C…普通 D…だめ

 

 

6月3日(日)

 いよいよ最終日だ、腰痛もあって無事に全行程を楽しむことができるだろうか、と一抹の不安はあったが、特になにごともなく元気でいけそうだ。

 今日の観光は中尊寺又は毛越寺いずれかを選ぶことになっているので、僕らは中尊寺には行ったことがあるので毛越寺にした。

 この寺は国の特別史跡特別名勝の二重の指定を受けた寺だという。

 池の周りにいくつかの寺があったようであるが過去の戦火により焼失している。

f:id:hidechan3659:20180607084525j:plain

f:id:hidechan3659:20180607084614j:plain

 

f:id:hidechan3659:20180607084830j:plain

 20分ほど見学してバスで中尊寺前まで帰った。ここで各自で昼食することになっているので僕はザルソバを食べ、女房は名物ずんだ餅のついたソバ定食を注文した。

 午後1時過ぎに秋田空港へと出発して140キロを走った。3時間ほどで到着し、僕らはドライバー、バスガイドおよび添乗員と別れた。

 バスとバスガイドはこれから240キロも走って仙台まで帰るそうだ。

 添乗員は交通機関を使って帰るから、家に着くのは夜遅くになると言っていた。そして明日からは新たな客を迎え、三泊四日の旅に出るという。

 帰りの飛行機も小さいためANAのプロペラ機とJAL便とに分かれた。僕らはJAL便でANA便より30分遅い6時30分発になった。

 搭乗口へ行くため保安ゲートをくぐるとまた呼び止められた。

「え、またか」

 と言って自分の身なりを見るとベストを着たままだった。

「ベストを脱いでください」

 若い男性の係員が金属探知機を僕の体に当てて言った。

 ベストを脱いでもまだ反応する。

「腰のコルセットをしているから、これも取りましょうか」

 僕が服を広げようとしたら、すぐ近くの正面からこちらを見ていた警察官が笑った。

「いや、結構です」

 服を脱ごうとする僕を制して手で入念に触っていたが、コルセットであることを確認したのか、

「結構です、ありがとうございました」

 係員は僕を解放した。

「いつも念入りに調べられるね」

 警察官の横で僕と係員のやり取りを見ていた女房が笑っている。

「そうだな、今度からは最初からコルセットを外しておくべきかな」

「そんなことして腰は大丈夫か」

「わからん」

 体から離していたベルトやベストを身に付けながら担当者に聞こえるような声で話した。これがせめてもの反撃だ。

 大阪行きJAL2176便は定刻より10分遅れで飛び立った。

 目標高度まで上がったとき、機長のアナウンスがあり、

「10分遅れで離陸しましたが定刻に到着できるよう速度を上げます」

 と説明があった。

 太陽が沈んでいく。

 初めて見る絶景に首が痛くなるほど見つめていた。

f:id:hidechan3659:20180607084929j:plain

f:id:hidechan3659:20180607085027j:plain

 

 最後に旅を振り返って、

 料金は一人当たり10万円と高かったが、内容は盛りたくさんで遣いがいのあった旅だった。

 誠心誠意案内してくれた添乗員、ドライバー及びバスガイドの方々に感謝している。

 

 

要精密検査

 3月に実施していた特定健康診断における心電図検査結果が要精密検査となっていた。

 4月の異動で他の病院へ転勤になった主治医に替わって新しく主治医になった医師の診察を受けると「精密検査をしなさい」だった。

 だが、心電図の異常はもう10年も前から続いていることでもあるし、昨年の心電図と比べてもなんら変化がない。それに自覚症状もない。

 前任の医師は「大したことないよ」で済ましていたのに新しい医師は大事をとっている。

 医師としては入院の日取りまで決めたいようであったが僕は断った。

 治療はするが検査のための出費はしたくない、そのために手遅れになっても仕方ないと思っている。